6月に入りました。ここ一週間ずっと雨が降っていて、フランスに梅雨はないと思っていたのにしとしとしていてちょっと残念です。でも、幸いなことに川の氾濫などはここでは起きていないので、元気に暮らしています。
雨とともに、畑には大量のナメクジが発生しました。パトリックが植えたサラダ菜が端っこから順々に侵食されていて、彼は毎日嘆いています。そして遂には私も一階の掃除をしている最中に直径？15㎝はある巨大ナメクジさんとばったり出会ってしまい、残像が頭から消えません泣。虫が割と好きな私もついぎょっとしてしまい、ファンムク（オランダ人のもう一人のwwooferの子）に「でっかいナメクジがいる～！泣」と報告しにいったほど←。明日の朝、顔を洗いに行くのが怖いです（流しがある場所なのです）。
そんな感じで今回は全くまじめな内容ではありません（え）。
私が感じたことを感じたままに書くという単純なお話です。
私はチョコレートが大好きです。甘いものがとにかく好きです。疲れている時なんかは板チョコを3枚くらいペロッと食べてしまうくらいチョコが好きです。
そんな私が、ある日チョコを食べた時のこと。
美味しくなかったんです。チョコなのに。
これが私にとって非常に考えさせられたこと。
なぜそのチョコが美味しくなかったか。
ここに来て最初の一週間は、もうまず食事の変化についていけませんでした。ほぼお肉ナシ、魚ナシ、油ナシ（ただしオリーブオイルは使うけど）、味付けもほぼナシ。
日に一度は脂っこいものが食べたい！から揚げが食べたい！カリカリのフライが食べたい！もはやマックですら食べたい！
…そんな思いに駆られていました。
もちろん野菜は大好きだし、野菜そのものの味がわからないわけでも、美味しくないわけでもありません。でも、習慣化していたもの。濃い味付け。油っぽいもの食べたさ。そしてチョコを食べたい。
そんな気持ちが薄ら薄ら心の中にあって、食事の後もなんとなく味気ない感じがしていました。
精神的にも慣れなかった頃だったので、最初のマルシェに行ったとき、ここぞとばかりにお財布を持参し、板チョコを購入(笑)。1週間ぶりのチョコ！部屋に戻って一口かじった時にはもう「チョコってなんて素晴らしい！」みたいなことを思った気がします。
それからは、ストレスが溜まったり、何となく食事の後にちょっと何か食べたいなと思ったりしたとき、マルシェの時に買った板チョコをすこーしずつ食べていました。食べると落ち着く。美味しい。
2週間ほど過ぎて、食生活にも慣れてきたころ。お肉はたまに夜ご飯にちょっと食べるくらい、魚も週に1回食べるか食べないかくらいだけど、まったくストレスを感じなくなりました。フライを食べたいとか、脂っこいものを食べたいとか、全く思わなくなりました。
そして、一人食べていたチョコレートも、別になくてもいいなあ、と思い始めました。手元にあれば食べてしまうだけで、わざわざ次買う必要もないか。
そう思って、マルシェに行ってもチョコを買わなくなりました。
その次の日は、「やっぱチョコ買うべきだったかも！！！」と猛烈に思いましたが(笑)、日々食卓にある料理の一つ一つに、満足できるようになっていました。チョコがなくても。
私以外のみんなにとっては、”普段食べているもの”に変わりはないんだけど、私にとっては毎日がごちそうのような感じ。作り方も材料も違うし、そもそもこれって作れるんだ！というものもあったし(ポタージュとかパンとか)、とにかく私が家では作らない(ラタトゥイユやケーキとかを)から普段食べないものばかり。それがただの玉ねぎであっても、人参であっても、ただ炒めただけであっても、茹でただけであっても。
それはいつから明確にそう思えるようになったのかわからないけど、今は日々食べるものが美味しい。決して肉が食べたい！！！とは思わない(それがいいか悪いか、ということではなく)。
そんなある日。たまたま自由時間が長めにあって、私はハンドクリームを買いたくて近くの町に自転車で出かけることがありました。手ががっさがさなんですよ(笑)。もう、ちょっとだけでも私の手に触ったら、「痛いっ！」ってなることでしょう。それくらいがさがさで。もう誰の手も握れません(まじめに)。←空気が乾燥してるのと、土いじりをしてるのと、洗い物を私が担当しているのが原因。
そういうわけでちょっとしたコンビニみたいなところに行ったんですが、もう高くて高くて。1000円くらいするんです、ちっちゃいチューブに対して(買えよ！って思った方、ごもっともです。さすがにそこまでして買うのもな～、別に誰かの害になるわけでもないし緊急性低いから化粧水で頑張ろうか、と思い、買わないという選択をしました←)。
まあでもスーパー入ったのに何も買わないとか怪しすぎるから、たまにはチョコでも買って一人木陰で食べてもいいか。100円くらいやし。
そう思って、日本のアルフォートみたいなチョコを1箱買いました。ひさびさのチョコ！さぞうまかろう。
そう、これがそれです(日本語意味わからん)。
木陰で久しぶりに思う存分チョコを食べれる。15枚も入ってる。しかも一つ一つがでかい。
美味しくなかったんです。
久しぶりに一人静かな時間の中で、好きなだけ食べれると思ってかじったその一口が。
美味しくなかった。
びっくりしました。確かにチョコの味はする。別にそのチョコが劣悪品なのではない。ちゃんとクッキーのさくさくした感じとチョコのしっとり甘い感じもあって普通に、美味しい。
でも、私が求めていた美味しさは、もうそこにはありませんでした。
何枚食べても同じ。結局、3枚くらいしか食べずに持ち帰りました。自分でもびっくりしました。いつもならばくばく食べちゃうのに。
そして夜ご飯の後にも食べてみました。
まあ美味しいんですけど、美味しいんですけど…ね。
もういらないや。って思いました。
みんなと食卓を囲んでいると、たまにベルナデットがケーキを買っていてくれたり、お客さんのためにデザートを作ったりして、いわゆる「ちゃんとしたデザート」がある時があります。
それは決して毎日の出来事ではなくて、ほんとにたまに。
エクレアだったり、ガトーショコラだったり、フロマージュブロンだったり。
量も決してたくさんではありません。4人でシェアしたり、一口だけだったり、ちょっとつまむくらいだったり。
でもなんだか、それが美味しいのです。
たまにみんなでちょっとだけ食べるごちそう。
ベルナデットがマルシェでこっそり買っていてくれたケーキ屋さんのエクレア。
パトリックがみんなのために作ってくれた鶏肉のトマトソース煮込み。
お客さんのために用意したデザート。
パトリックがこっそりつまんでいたのをわけてくれたバターサブレ。
ベルナデットが料理の間にくれた飴っこ。
デザートを作った時のボウルをファンムクとこっそり舐めてみたり。
いつもはサラダといえばサラダ菜だけなのに、モッツアレラチーズやオリーブも入っていたり。
(キャラメルクリームのエクレア。クリームがぎっしり詰まっていて、2分の1でも十分だった)
(チーズもトマトもオリーブも入ったサラダ。食べないことはないけど頻繁ではない)
なんてことはない、ちょっとしたもの。
なのに、それが美味しい。毎日食べるわけではないからこそ、みんなで分け合って食べるのが楽しい。
きっと私は、あまりにもチョコを食べすぎていたのでしょう。
だからその味やありがたさに慣れすぎてしまって。それが当たり前になっていた。味わったり、誰かと共有したり。そういうものではなくて、単に「チョコを食べること」に軽く依存していたのでしょう。チョコを食べると落ち着く、という思考回路が頭の中にあったのでしょう。パブロフの犬みたいに。
今ではもうそのことに価値を見出せません。チョコを食べても美味しいと思わない。
というか、美味しいは美味しいんだけど、何かが違う。一人で食べれば食べるほど、心がむなしくなっていく。
別に豪華なものでなくてもいい。
高級なものでなくてもいい。
毎日でなくてもいい。
ただ、みんなと一緒に食卓を囲む。
素材の味を感じる。
言葉が100％通じなくても、たくさん話して、笑ったり、議論したり。
時にはテラスで沈んでいく夕日を眺めたり。
たまにワインをちょっと飲んだり。
ただそれだけのことなのに、それが日々幸せだと思う。
決してたくさん食べる必要はない。高価なものを食べる必要はない。
本当に美味しいと思えるものを、なるべく素材の味を生かした状態で、大切な人たちと。
これがいかにありがたいことか。
フォアグラや、トリュフや、キャビアを毎日食べている人ももしかしたらいるかもしれない。きっと美味しいだろうな。
でも、それを食べなくても私は充分。
毎日美味しい野菜を食べて、みんなと笑って、土に手で触れて、太陽の光を浴びて、朝露がきれいだということにわざわざみんな手を止めて集まって(笑)。
( ↑ 作業してる時にすごい勢いで呼ぶから何かと思ったら！)
今日は洗濯物の向こうに見える山が、夕陽に照らされてすごく綺麗だったよ、お母さん。
日々が過ぎ去っていくごとに、私の考え方は変わっていくんだな。
次にチョコを美味しいと思える時は、きっと誰かと楽しい時間をチョコとともに過ごす時だろう。
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