BIOの話① ~なぜ人々はBIOの暮らしを選ぶのか~

今回はBIOのお話。なぜ、BIOにこだわるのかということ。そして、どうやってそれが成り立っているのかということ。

後者の疑問についてはまだ書き切れないので、話を二つに分けて書いていきます。



「そもそもなぜBIOの話になったの?」と思う方もいるかと思うので、少し経緯を説明します。

大きなポイントは2つあって、
①今住んでいる農家さんがほぼBIO製品のみの生活をしているから。
②日本では有機栽培の仕組みが整っていなくて、うまく回っていないのが現状なのに比べて、ここでは地域ぐるみでBIOが回っているから。


日本だと、ほぼBIO製品のみの生活を送るのはかなり難しいと思います。お肉や小麦、ご飯もすべてBIOなんですよ。洗剤や羽毛布団もBIO製品です。びっくりぽん。


(この左にあるのがBIO製品であることの証明となるロゴ。こちらのパンもすべてBIO製品です)



ということで、最初にBIOの定義を少しだけ載せておきます。


「”L'agriculture biologique”は、耕作の実用・自然の均衡を尊重した栽培・環境保護・動物の幸福・化学製品の不使用・OGM(遺伝子組み換え生物)の不使用というところに基盤を置く規則に従っている」(Biau Panier記載文章を参照)


”L'agriculture biologique”というのは、フランス国内で流通しているBIO製品のロゴです。多くの人々が、このロゴを目安にしてBIO製品を買っています。

同時に、”Nature & Progres”というロゴも存在します。これはBIO製品の生産者と消費者による連合で、同じく化学肥料を使わない耕作などを基盤に置いています。


つまるところ、BIO製品と呼べるものは、「化学製品を使っていない」「遺伝子組み換えをしていない」「自然の調和を崩さないよう配慮している」などの点に当てはまるものだと考えられます。



BIOが体にいいのは知っている。日本でも意識している方はいると思います。

ただ、生活の一部に取り入れるのではなくて、ほぼBIOにする、というのはどうしてなんだろう?そこまでこだわる理由は?


ネットで調べることはできますが、それはあくまで一般論。そう思って、ホストマザーのベルナデットにそのまま聞いてみました。

ちなみに、フランスの農業とBIO製品についてはこちらの記事が分かりやすいのでお勧めです(フランスニュースダイジェスト:農業大国フランスの未来より)。




(以下ベルナデットの話)


もし、BIOの野菜が普通の野菜の2倍の値段だったとしても、私はそれを買う。普通の人参が2ユーロで、BIOの人参が4ユーロだったとしてもね。

自分の体に良くないとわかっているものは摂りたくない。20代の頃はいいけど、そういう食べ物を摂り続けて、40代になった頃の自分はどうなっているか?

今の人たちは風邪を引いたり体調を崩したりすると病院に行って薬を買って治すけど、本当に体にいいものを普段から摂取していれば、健康は維持できる。少なくとも、体調を崩しやすい体質にはならない。


病院や薬に高いお金をかけても大丈夫と思うのなら、普段口にするものをより良いものにしようとは思わない?病気にもなりにくい。どうして人々はその選択をしないのか。選択肢は私たちの手元にあって、選択するのは私たちなのに。


人々はカフェでコーヒーを1杯飲む時に、それが3ユーロでも、3.5ユーロでも、4ユーロでもそんなに違わないと思うのに(日本だと300円でも、350円でも、400円でも、という感覚)、どうして野菜を買う時だけは1円でも安いものを選ぼうとするのか。どうして普段口にするものほど、安い値段を追い求めるのか。レストランで食事をする時には値段を気にせずに食べる時だってあるのに。


もし今、あなたの手元にお金があったら、何に使う?
いい薬を買える?豪華な食事をたくさん食べられる?娯楽に使える?


人々はお金で何ができる?


私たちはただ、そこで普段口にするものにお金をかけるという選択をしただけだよ。


(BIOのマルシェで買った野菜。どれも大ぶりでしっかりしているし、味も美味しい。まったく見劣りするものはない)


これはかなり痺れました。彼女の言ってることにただ頷くことしかできず。


全くそういう風に私は考えたことがありませんでした。健康意識が高い人だけがやっていることだと思ってた。自分には遠い存在だと。
でも、彼女の指摘はその通りだと思いました。


そしてもう一つ、私たちの間で議論になったことがこれです。

光の反射で見づらいのですが、こう書いてあります。

「Si tu ne sauves pas Maintenant ta planete」

ー「Qui?」

ー「Quand?」


「もしあなたが今、あなたの地球を救わないのだとしたら」

ー「誰が?(救うの)」

ー「いつ?(救うの)」


彼女は、この解決策の一つとして、BIOの暮らしがあるんだと言っていました。

だからこそ人々はBIOにこだわる。BIOを追い求める。


私たちが本当に考えなければならないことは一体なんなんだろうか。


こういう話を日々食卓でしている。そんな日常です。



※ちなみに、ベルナデットの話は私が意訳しているところもあります。聞いたままを書いているつもりですが、ニュアンスとして伝わりやすく書いています。決して意見を押し付けているわけではなく、単純に私が感じたことを感じたままに書きました。

Vive le WWOOFing! フランスワーホリログ

2016年4月〜2017年2月まで、フランスwwoofの旅。オーガニック農業、人との出会い、生き方と自分自身の発見、食文化と健康、言語に今は関心あり。「自分がよく"有る"」ために大切なこと、「どんな生き方をしたいのか」を考え中...!

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