お久しぶりのブログです。7~8月の間、インターネットがなくブログをお休みしていましたが、やっとこさ再開!
ということで、今回は「WWOOFって一体何?!」ということについて書いてみます!
実は友人に「あなたがやってるのって何…?農家になったの?」と聞かれることが多く、自分では伝えているつもりでも伝わっていなかったんだなあと最近気づかされていたのです。
そこでWWOOFの使い方、実際どんな環境なのか、いいところ・大変なところは何か、など、客観的に見た「WWOOFの暮らし」をまとめてみました。
●基本!WWOOFって?
まず…WWOOFと書いて、「ウーフ」と読みます。これは、
World Wide Opportunities on Organic Farms
の略語で、世界規模で、有機農家さんでの経験ができる、というような意味合いです。各国のWWOOFに登録すると、そこに登録している有機農家さんで働けるわけです。
― お金のやりとりなしで、「食事・宿泊場所」と「力」そして「知識・経験」を交換するしくみです。有機農場や、環境を大事にする人たち、自然が豊かに残っている場所、または人と人との交流を大切にしているところと、農業や、生き方について学びたく、仕事の手伝いや家事の手伝いをしてみたい人たちとをつないでいます。何をしたら相手が喜んでくれるかをお互いが念頭に置きながら一緒に生活するものです。(WWOOFジャパンより引用)
お金のやりとりは一切なく、私たちが労働力を提供する代わりに、農家さん(ホスト)側が食事・寝る場所・知識を提供してくれるという、物々交換のような仕組み。
WWOOFジャパンがあるように、WWOOFというのは各国それぞれにあります。もし「WWOOFingをしたい」という場合は、まずどこの国でするか、ということを決めてから、そこのサイトに会員登録をします。
私の場合はフランスということを決めていたので、WWOOF franceに会員登録をし、一年間の登録料として25ユーロを支払いました。日本円でいうと3000円くらいでしょうか(ちなみにWWOOF ジャパンの登録料は5500円)。
会員登録をして初めて、農家さんリストにアクセスできるようになります(リスト自体は登録していなくても見ることができますが、連絡先などは見ることができず、コンタクトを取ることはできません)。
●登録したら
自分の行きたい国のWWOOFサイトに登録をしたあとは、ホスト選びになります。実際の画面はこんな感じ(国によって違うみたいですね)。
ちょっと見づらいので各部分を拡大してみます。
まずは左上から。
この部分では、条件検索ができます。
・何月に行くのか、何人なのか、どのくらいの期間か
・農業の分野
によって農家さんを絞ることができます。
分野として書いてあるのは(左から)、牧畜・乳製品・ぶどう畑・果樹園・野菜菜園(規模が少し小さい)・野菜の集約栽培(こちらは大きめ)・環境保全型農業・穀物・森林・養蜂・パン製造・ビール醸造業・野生植物の採集などです。
緑色の「Plus de filtres」というところでは、地域・子どもや動物の同伴がOKか・その他のキーワードをさらに加えて検索することができます。
「ワイン作りを体験したい」「チーズのつくり方を知りたい」なんて感じで絞っていくこともできます。
次は地図の部分。
これは見たまんまですね。農家さんの数が地図上でわかるようになっています。
先ほどの条件検索をかけたあとでも、地図上で確認できるようになっているので、ある程度絞ったらあとは行きたい地域で決める、ということも可能です。
もちろん、地図から絞っていくのも一つの手なので、自分が何を基準に農家さんを探すのかという優先順位に従って検索していけばいいのかなと思います。
●農家さんにコンタクトを取る
ある程度自分の希望でリストを絞ったら、各農家さんの紹介ページを読み込みます。ここには、世帯主の名前・電話番号(ない場合もある)・地域・最寄り駅などの基本情報から、農家さんが書いた紹介メッセージ、宿泊場所の詳細(受け入れ人数や建物の種類)、受け入れ期間(何月・どのくらい滞在できるか)などが書かれています。
ここは私が最初に行ったホストのページ。これを見ると、「1週間以下は受け入れていない」「12月は受け入れをしていない」ということがわかります。
多くの農家さんは紹介文をフランス語と英語で書いてくれていますが、フランス語のみの場合も多くあります。中には「ドイツ語が話せます」とか、「英語・イタリア語・スペイン語OK」といった言語環境について明記してくれている方もいますが、WWOOF側では言語の欄がないので、文章を読むしかありません(フランス語以外を希望する方は)。
「よし、ここに決めた!」と行きたい農家さんが決まったら、画面上部右側にある「Con
tacter cet hote:コンタクトを取る」という緑色のボタンをおしてメッセージを書きます。
●コンタクトを取る時気をつけること
ここで気をつけたいことがあります!
まず、知っておくべきことが、「WWOOFのサイトから送信したメッセージへの返信は、自分のメールアドレスに届く」ということ。最初にサイトに登録したメールアドレスに返信が届きます。
なので、メッセージを送信したあとは基本的にサイトはチェックする必要がありません。便利です。
で・す・が!
実は、あまり返信が返ってこないのです。これは最初知らなかったので、決めるのに手こずりました。1件目の農家さんが決まるまでに4ヶ所、2件目の農家さんまでは2ヶ所、3件目の農家さんの時は7ヶ所に、私はメッセージを送りました。
その理由(なぜ返信がないのか)を2件目にお世話になったホストに聞いてみたら、「もし興味があれば(=受け入れられるなら)すぐ返信するけど、既にwwooferがいっぱいいる場合は返信することに対する優先順位が下がるから、返信が遅れるか、返信を忘れちゃうこともある。もしメッセージを送って、翌日までに返信が来なければ、次を当たったほうがいいと思う」とのこと。
確かに、私も受け入れOKと言ってくれた農家さんからは、送った翌日にすぐ返信がきました。他のホストは一週間後などに「いっぱいで受け入れできない、申し訳ない」というメールがきたり、もしくは何も来なかったり。そういうもんなんです。
なので、受け入れてもらえるかは時期的な運も関係したりしています(経験上、2ヶ月前までに送ると受け入れてもらえる可能性は高いです)。
私はメッセージを送るときは、「自分がどういう人間なのか」「なんでその農家さんに行きたいか」「いつからどのくらいの期間滞在したいか」を書くようにしていましたが、きっとそれはみんな書いていることでしょう。
また、ホスト側としては、メッセージは直接ホストのメールアドレスに届くので、いちいちサイトのプロフィールを見たりしないそうです(これは人によるかも知れないけれど)。サイトにログインして、プロフィールにリンクを飛ばして、なんて時間をかけていられないと。確かに…。
メッセージを送るときは、プロフィールもあるから、と思わずに、全部丁寧に書いたほうがホスト側には親切だと思います。
もしホストから返信がきたら、あとはメールや電話で詳しい日程と待ち合わせ場所(駅に迎えに来てくれたり)を決め、いざ足を運ぶ、という流れになります。
ここまでは、WWOOFの使い方を簡単に書いてきましたが、ここから先は私の体験したことや、それによって感じたことを書いていこうと思います。
●生活リズムは?
これは農家さんによってきっと大きく違うと思います。私の場合は、1件目の農家さんは民泊をされていたので、お客さんの宿泊日程によって土日も準備をしたり、急に午前中フリータイムになったり、とかなり変動的でした。基本的には、
8:30 朝食→庭で作業したり、料理の準備をしたり
13:00 昼食→その後自由時間
17:00 夕食の準備など
という日が多かったです。特にきっちりと時間を決めて動いていたわけではないので、時に丸一日みんなで出かけたり、丸一日作業したりなんて日もありましたが、とても楽しく過ごしていました。農家さんといえど、ここは民泊がメインで、野菜の販売はしていなかったので、どちらかというと家庭菜園に近い環境でした。
2件目の農家さんは、「THE農家」という感じで、野菜・穀物・果物・パン・ジャムなどを市場やAMAPにて販売していました。ここでの生活は時間で決まっていて、
6:30 各自で朝食
7:00~12:00 畑で農作業→みんなで昼食
その後は自由
というスケジュールでした。ここでは、昼食以外は自炊(材料はすべてホストが出してくれます)。加えてwwooferが常に4人はいる、という環境だったので毎日がサバイバルのような感覚でした笑。
●wwooferはどんな人?
いろんな人がいますね~!驚きました。たくさんいるので、国籍と年齢を書いてみます。
〈1件目〉5月~6月
・アメリカ人(男性)、20代学生
・オランダ人(女性)、20代学生
・アメリカ人(女性)、10代学生
・チリ人(男性)、20代旅人
〈2件目〉7月~8月
・イギリス人(男性)、30代旅人
・モロッコ人(夫婦)、30代農家志望
・スウェーデン人(女性)、50代社会人
・オランダ人(男性)、30代農家志望
・イギリス人(男性)、20代学生
・中国人(女性)、20代学生
・フランス人(女性2人組)、30代社会人
・ニュージーランド人(女性)、20代旅人
・フランス人(夫婦)、30代農家志望
・フランス人(男性)、30代旅人
・ドイツ人(男性)、10代学生
・フランス人(女性)、20代学生
・フランス人(女性)、20代社会人
・ベルギー人(女性)、10代学生
ということで、私が4ヶ月で出会ったwwooferは計21人!すごい数!そのうち20代はほとんどが学生(学生8、社会人4、農家志望5、旅人4)。
つまり、「なぜWWOOFingを選んだのか??」という疑問に対する答えとしては、「フランス語を活用したかったから」が一番の理由でした。社会人メンバーからは、「夏期休暇を活かして、普段自分が食べているものがどう作られているかを体験したかった」「フランスの中でも他の地域の暮らしを見てみたかった」という声も。あとは「旅をする一つの方法として」だったり、「将来的に農業に携わるので、そのための経験を」という理由がほとんどでした。
WWOOFを選ぶ理由は人それぞれですが、一番あってはいけないのが、「観光気分で来ること」だと思います。WWOOFは観光ではありません。普段体験できない農家での暮らしを体験したい、ということと、田舎の別荘に遊びに行く、という感覚をごっちゃにしてしまうと、非常にギャップがあります。時にめちゃくちゃ体を動かさなければならないし、腰も痛くなるし、筋肉痛にもなるし、虫を素手で潰したりもするし、掃除も料理も自分たちでやります。
ホストとwwooferは、お互いへの尊重・思いやり・信頼を築くことが大切です。
●ズバリ!WWOOFの良い所・大変な所
これは完全に私の主観ですが、書いてみます。
〈良い所〉
・生活の安全が確保される(自分で消費しない限りお金は減りません)
・必ず誰かがそばにいてくれるという安心感がある(ホストやwwooferが本当の家族のような存在になります)
・そこに住む人たちの暮らしや食事を体験できる(生活リズムや暮らしの習慣、どんなものを食べるのか、どう調理するのかがわかります)
・言語環境に優れている(いやでも朝から晩まで話さなければならないので、確実に言語は伸びます)
・その国だけでなく、他の国の人達とも会える(世界各国からのwwooferたちと友達になれます)
・自分が普段食べているもの、「食」について深く考えるようになる(農薬が使われている野菜が一体どんなものか、そしてオーガニックの野菜を育てるのがいかに時間と労力を使うのかを身を持って体験できます)
・自分の無知さを知る(みんなから聞かれる質問に全く答えられない自分に気がつきます。それによって、自分の”知っている”を”説明できる”に変えられるように勉強するようになります)
・世の中にはいろんな人が生きているんだと知る(文化も性格も違う人たちと朝から晩まで一緒に過ごすことで、全く違う人たちとの共同生活の中で自分を殺さずに生き延びる方法がわかります)
・自然の中に生きる(毎日土に触れ、空を見て、生きていることを実感します)
・環境適応能力が高くなる(どんな場所でもどんな人とも生きていけるコツを掴めそうな気がします)
〈大変な所〉
・体力を使う(元からムキムキの人は問題ありません)
・日焼けする(特に弊害はありませんが念のため)
・行動範囲が狭い(基本的に田舎が多いので、車でもない限り遠出は難しい)
・嫌いなタイプの人がいても一緒に生活せざるを得ない(wwooferとは常に一緒です)
・プライバシーがない(共同生活なので、個室はありませんでした。常に誰かがいて、一人になりたくてもなれないこともあります)
・お肉や魚が好きな人は辛いかもしれない(2件目の農家さんはベジタリアンだったので、お肉と魚が完全にゼロの生活でした。嫌な人は嫌かも…)
・日本人がいないor日本に興味ある人が少ない(留学などと違って、日本人に出会うのはまれです。また、日本のことを全く知らない人と日本の話をするのは、自分の知識が豊富でないと難しいと感じました。時に孤独を感じることも)
・フランス語が話せない場合はかなりきつい(ニュージーランド人の子は英語しか話せず、作業する時や誰かと一体一で話す時は困らないのですが、みんなで会話する時は必然的にフランス語なので、何もわからない会話の時間が長く、辛そうに見えました)
ざっくりと書きましたが、私はWWOOFを選んでよかった、と心から思います。
きっと留学をしていたら孤独死していただろうし笑、思い切り自然の中に体をおいて、毎日体を動かして、美味しい野菜を食べて、夕日を見て、星空を見て、自然の中に生きることが、いかに貴重であり、自分に足りていなかったのかを実感していました。
また、ホストには本当に恵まれて、それぞれ2ヶ月近く滞在していたこともあり、最後には「いつでも戻っておいで」と暖かい言葉をかけてくれるほど近しい存在になりました。
WWOOFでの滞在期間は、最低1週間から始めることができます。なかなか時間が取れない方や、いろんな場所を見てみたい方は、1週間ごとで違うホストを訪れてみるのもいいと思います。
ただ、もし時間がある場合は、私は最低1ヶ月ほどの滞在をおすすめします。
というのは、信頼関係が格段に変わるからです。1週間でも、ホストの人柄を知り、たくさん話して、仲良くなることはもちろんできます。2週間いたら十分かな。でも、そこから先がもっと広がるのが3週間目以降です。ホストと一緒に他のwwooferを受け入れたり、ホストと悩みを相談し合ったりするようになりました。また、ホストの友人、近くに住んでいる隣人の方、いつもマルシェですれ違うあの人、買いに来てくれるお客さん。そういう、「その地域で生きている人たち」と関係ができてきたのもその頃。「誰かの家に滞在している」のではなく、「その地域で生きる」ことを感じます。ホストがいない時でも、私はいつでもその地域に遊びに行ける自信があります。そういう地域ぐるみのつながりの中に私がいる、その感覚は、長くいて初めて生まれるものでした。
WWOOFを通して出会ったすべての方に感謝です。
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